テキンで活版印刷!

 大阪のEchosさんへ行ってきました。
 Echosさんは、活版印刷機や箔押し機などを使うことができるワークスペース。レクチャーを受ければ誰でも自分で印刷できるという素敵なスペースです。

 もちろん今回は、前回作成した樹脂版を使います。
 樹脂版をメタルベースに固定し、メタルベースをチェースという枠に固定します。このチェースをテキンにセットすれば、印刷可能になります。

 テキンというのは、手動式の小型の活版印刷機。
 手で押すための、レバーがあるのが特徴です。印刷するためのレバーなのですが、印刷よりも「押す」っていう感じです。

 チェースをテキンにセットすると、次はインクの準備をします。
 テキンの上部にある円盤がパレットになっています。ここでインクを均一に伸ばすのですが、それが面白くて不思議。

 ますはパレットにちょんちょんちょんと等間隔にインクを置きます。
 「ベタ面が多いデザインなので多めに」ということでしたが、それでも、「え?」って思うくらい少なめ。
 レバーを小刻みに引いて、伸ばしていきます。
 レバーを引くと、パレットが回って、ローラーがパレットの上まで上がってきてインクを伸ばします。
 それがビックリするくらい、均一にキレイに広がります。



 キレイに広がるのも不思議なら、キラキラしているのも不思議。
 パレットは、平らに見えたのに、なぜなんでしょうか???

 あとは、印刷の位置合わせをして、どんどん刷っていくだけです。

 レバーを押し下げる度に、パレットが回って、ローラーがパレットの上まで上がり、紙をセットした圧盤が版に密着します。レバーを戻すと、圧盤が離れ、ローラーが版の上を転がりインクを補充します。
 ちなみに、機械の形的に片手で印刷できそうですが、かなり力が要るので両手でレバーを押し下げます。



 印刷は1枚1枚。
 手差しで紙を入れて、刷り上がったら圧盤から紙を抜きます。

 こんなにアナログな印刷だから、1枚1枚が表情が違うのです。
 感動して、どんどん刷ってしまいます。

 自分で刷ると、他にもいろんなことがわかってきます。
 ときどきローラーだけ動かして、版にインクを補充してあげないとかすれてしまうこと。均一に印刷するには、かなりの技術が必要なこと。

 刷った枚数は50枚。
 とっても楽しく刷れました。
 だけどこれが、500枚とか1,000枚になったら大変だろうな、というのも実感。

 そして、使った後の清掃が、手間です。
 専用の溶剤を使って、パレットやローラーのインクを拭き取ります。
 見た目がキレイになっても、拭くとダストが真っ黒になってしまうくらい、しつこいのでビックリ。

 それでも、“活版印刷は面白いなぁ”という思いが勝ってました。

 ベタ面の多いデザインだったので、Echosさんにはテキンではなく大型の活版印刷機Vandercookを奨められました。「こちらだと製品のようにキレイに刷れますよ」と。
 少し悩んだのですが、テキンを選びました。
 今回の絵は、かすれても面白いかもしれない。

 刷ってみると思った以上に面白く、偶然も活版印刷の面白さの一つでした。