写真×活版印刷・その2

 2020年になりました。
 この数字の並びが、なんだか特別な年のように感じられます。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、随分間が空いてしまいましたが、『写真×活版印刷』のその2です。

 前回の樹脂版を、実際に活版印刷機で刷ってみました。
 使った紙はスタードリームFSブロンズ、インキは白です。いつもはテキンで刷っていますが、今回はキレイに刷るためにVandercookという大型の印刷機を使いました。活版印刷の校正機だった印刷機です。
(すみません。初めての印刷機&アタフタしてたので、今回は印刷中の写真はありません……)

 スタードリームFSは、ラメの入った紙でキラキラと光ります。
 そこへ白インキで印刷したので、インキが載った部分はラメが抑えられて、面白い結果になりました。

Super Adamas

 写真の再現性という意味では、印画紙に優るものはないですし、活版印刷を選ぶ理由もありません。オフセット印刷などの方がよっぽどキレイに刷れます。

 “単に写真を活版印刷で刷っても面白くない”

 そんな思いはありました。
 通常は黒い部分を黒インキで刷るのですが、反転して白い部分を白インキで刷ったのも、それがあったからです。

ネガ

 今回、樹脂版を起こした原版は、ネガでした。
 アナログのフイルムの写真。

 デジタルのパキッとした絵ではなく、“フイルムの粒子感を活版印刷で再現したい”。
 とはいえ、活版印刷らしさも欲しかったので、60線という若干粗めの感じで製版をお願いしました。

光の様子が変わるとこんな感じ。

 スタードリームFSという紙の特性もあって、できあがったカードは少し不思議なものになりました。
 光の具合によって、表情が変化します。

 少し儚げな印刷になったような気がします。

モデル:伊太地山伝兵衛(Den-bay Itachiyama)

 このカードは、2019年11月23日に大分・BRICK BLOCKで行われた『伝兵衛忌~七回忌~』の偲ぶ会にて、おみやげとして配布しました。